Evernote – 私の活用法

 

2015-06-28 15.24.07

Evernoteってご存じですか?ノートを取るように、またはスクラップブックのように、情報を蓄積できるデジタルのワークスペースです。クラウドにデータを保存・整理し、メモや文章を書き込み、必要な情報を収集、それらを検索して必要な情報を簡単に見つけることができます。(キングジムHPの説明がわかりやすいです)

Evernoteでは集めたデータ一つ一つをノート、それを入れるフォルダをノートブックと呼んでいます。またそれぞれにタグを付けておくと(複数可)、Twitterのハッシュタグのようにタグでノートを検索閲覧できます。

Evernote

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個性的な紙の辞書と東ドイツ時代の本

約1年前に引っ越して以来、本の整理を進めています。検索ができるように電子化もしているのですが、よく使う辞書には紙の辞書もたくさんあります。 

テクニカルライター英和辞典

「key」というと鍵やキーボードのキーが思い浮かびますが、技術翻訳では機械要素のキーがよく出てきます。「機械用語大辞典」(日刊工業新聞社)には「回転軸に歯車やプーリなどを固定して,トルクを伝達する場合に用いられる機械要素の一つ」と書かれています。この用例を載せている辞書は少なく、あの海野さんの辞書にも訳語は載っていますが数百ある例文には(ざっと見ただけなので見落としているかもしれませんが)見当たりません。そこで仕事机の横のスタンド形本棚に置いている「テクニカルライター英和辞典」(三省堂; 増補新装版)を見てみると「(キー;回り止め、抜け留め用の)くさびキー」という訳語と共に多数の例文と図も載っています。

例:

… secured by a key against turning キーで回転を阻止されている…

訳語だけではどういうものか把握しにくいので、コンパクトな辞書ですが手放せません。

ずっと絶版で、古書が2万円もする時期があったのですが、2008年にインデックスを加えた増補版が出ました。このような辞書が再版されることは珍しいので、多くの方の支持があったのだと思います。 

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翻訳者のための青色申告(2) - 節税の計画を立てよう

 

2012-05-07 10.44.56

 

今年から青色申告に切りかえた方はそろそろ記帳指導が始まる頃ですね。最初は何が経費にできるのか、どの費目に仕分けたらいいのか、というようなことで悩まれると思いますが、記帳指導で相談できるので安心です。このブログではもう少し全体を見たいと思います。

 売上と経費のバランス

経費はいくらぐらいまで認められるのでしょう。私が以前お話をうかがった複数の税理士さんは、だいたい売上の1/3から半分までなら問題ないとおっしゃっていました。目安として国税庁HPで給与所得控除を見てみると、例えば給与所得が3,600,000円~6,600,000円で収入金額×20%+540,000円となっています。個人事業主は交通費や交際費も自前なので、これよりも多少多くてもよいのではないでしょうか。

売上げが増えても、経費はそのうち頭打ちになります。私の場合どんなにがんばっても150万から250万程度です。経費といっても自分のお金ですので、節税のためだから、とむやみに使うと自分のお金がなくなります。それよりも別の手立てを考えましょう。

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類語辞典、あるいは辞書の類語辞典的使用法 – 翻訳者は中1で習う単語も辞書で引く

翻訳する時、訳語を考える上で欠かせないのが類語辞典です。今日は私が日頃使っている類語辞典をご紹介します。

翻訳訳語辞典

私がよく使うのは翻訳家の故山岡洋一さんが作られた「翻訳訳語辞典」です(WEB辞書)。信頼できる翻訳家が邦訳した本と、日本語で書かれた本の英訳を出典にして(出典も明示)、実際に使われた訳語を集めたデータベースです。通常の英和辞典の不備を補うことを目的としており、英和辞典にない訳語を多数収録しています。また活用(collocation)も重視しています。(詳細はこちら

character、aspect、allowなど、こなれた訳にしたいと四苦八苦する語は頻出単語でもあります。何時間考えても思い浮かばないこともしばしばです。

翻訳訳語辞典でexperience を引いてみました。上段には訳語が表示されます。

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翻訳者のための青色申告(1) - はじめの一歩

Aoiro

出てていくお金を減らそう 

収入が不安定になりがちなフリーランスですが、工夫次第で出ていくお金を減らす余地はたくさんあります。入ってくるお金を増やす努力をすると同時に、節税や経費節減によって実収入を増やしましょう!その第一歩が65万円の所得控除が受けられる青色申告です。どのくらい節税できるか、こちらでシミュレーションできます。

個人事業主のかんたん税金計算シミュレーション

青色申告は思っているより簡単

翻訳業は仕入れもなく買掛金も在庫もありませんし、外注せずに一人で仕事をしている場合や専従者を使わない場合は特に記帳が簡単にすみます。またパソコンも安価になり、面倒な減価償却が必要となる物品もほとんどありません(あったとしても会計ソフトがすべて計算してくれます)。

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多和田葉子さんのカフカ「変身」

facebookのタイムラインで話題になっていた「新訳でびっくり。カフカ『変身』の主人公は、本当に「毒虫」に変身したのか」

 

新訳でびっくり。カフカ『変身』の主人公は、本当に「毒虫」に変身したのか」(米光一成)

冒頭の有名な一文、

Als Gregor Samsa eines Morgens aus unruhigen Träumen erwachte, fand er sich in seinem Bett zu einem ungeheueren Ungeziefer verwandelt.

の多和田訳

“グレゴール・ザムザがある朝のこと、複数の夢の反乱の果てに目を醒ますと、寝台の中で自分がばけもののようなウンゲツィーファー(生け贄にできないほど汚れた動物或いは虫)に姿を変えてしまっていることに気がついた。”

があまりにもこれまでの訳とかけはなれている、というのだ。筆者の米光さんはそのことを批判的に書いているわけではなく、文面からは彼のウキウキした気持ちが伝わってくる。私もそうだ。結論から言うと、多和田さんの頭の中に立ち現れたカフカの世界を、私は純粋にただ味わいたいと思う。これだけたくさんの既訳があるのに、他の訳とは違う、こんなところに連れてきてくれたのか、という訳でなければ、多和田さんに翻訳を依頼したかいがないではないか。

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校正作業を楽に-文書校正支援ツール Just Right!5 Pro

翻訳業を含め、筆で身を立てている人には誤字脱字、表記不統一は悩みの種ですね。「3か月」か「三ヶ月」か、「取り締まり」か「取り締り」か「取締り」か、基準か規準か、のような不統一や、括弧が閉じられていない、開くべき漢字がそのままになっている、などのケアレスミスは、校正者の目をすり抜けてしまうことがあります。そのような間違いを100%防ぐことは不可能でしょう。自作のマクロやツールを使ってチェックされている方も多くいらっしゃいますが、市販のソフトウェアを使ってある程度排除することもできます。そうすれば負担が軽減されてその分内容に注力できます。

文書校正支援ツール Just Right!5 Pro

このツールでどのようなことができるのか、簡単にわかりやすく説明するのはなかなか難しいのですが、末尾に発売元のパンフレットに掲載されているチェック項目の表を記載しましたのでご参照ください。

例を挙げると、『誤りチェック』では、「人事移動」や「できますた。」などの誤字脱字、「こんにちわ」 「1つづつ」などの仮名遣い、「食べれる」などのら抜き表現等がチェックされます。

また『括弧』では、括弧の欠落、不対応、階層まちがい等を指摘してくれます。

標準辞書+ルールで校正をかけると次のようになります(画像をクリックすると拡大されます)

hyoujyunn ru-ru

 

左に指摘一覧、右に校正結果が出るので1つずつあるいはまとめて修正したり、辞書に登録したりできます。

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