個人事業主として翻訳のお仕事を受けていると毎月支払を受ける際に所得税が源泉徴収されます。今年度から、会社が税務署に法定調書を提出する際にマイナンバーの記載が必要になりました。(ただし翻訳者宛の支払調書には記載されません)。
個人のセキュリティの観点から提供を断る方も多いかと思います。拒否する旨書類を提出し、その書類を相手の会社で保管されていれば、法的には問題はありません。
届けるか届けないかは個人の自由です。そういう裁量が個人に与えられていることはありがたいなと思います。
確認書の書式例
マイナンバー提供拒否確認書書式、などで検索するといろいろ書式例が出てくるのですが、文言が大げさなので大学講師の知人が使用されていたものを参考にして作ってみました。
個人番号(マイナンバー)提供拒否についての確認書
株式会社〇〇〇〇
代表取締役 ○○○○ 殿
私は、貴社より個人番号(マイナンバー)の利用目的について事前に通知され、また法令の定めであることの説明は受けましたが、個人的事情により個人番号(マイナンバー)を提供できない旨、ここに届け出ます。
平成 年 月 日
住所
氏名 印
9月いっぱいが締めきり、という会社が多いようです。
届出書を返送するだけでよい会社も
ところが最近の友人が代行業者(代行業者を利用されている会社が多いようです)に問い合わせたところ、「マイナンバー提供についての確認書」も必要なく、届出書の当該部分(これは会社により書式が違うのでどこのことか私にはわかりませんが)に大きく赤で「×」を付け、「処理不要。提供を控えます」と書いて送り返せばいいと言われたそうです。これは楽ですね。
要するに、こちらから提供を拒否する旨をお知らせし、その書類を会社側が保管していれば法令には違反しないということです。
届出の要請がないのは
全ての取引先から届出書が送られてくるわけではありません。
支払額が年間5万円未満の場合は、翻訳会社が法定調書を税務署に提出する必要がないので、マイナンバー提出を求めてこられないと思います。また海外の会社は源泉徴収しないので当然ながら支払調書も届出書も不要です。また、個人事業主ではなく法人化している方は源泉徴収がないのでやはり届出書の要請はありません。
提供しなくても不利益はない
中には提出しないと翻訳料を支払わない、というお役所もあったそうです。拒否する旨を連絡したのに「絶対提出」と言われたら、国税庁のサイトに出ていますのでこちらをお知らせくださいね。
拒否すると仕事が来なくなるのでは、と心配される方もおられましたが、私が受け取ったのは形式こそいろいろですが今のところ全て代行業者経由です。拒否の方が一定数おられることは織込み済みでしょうし、だいたい本業の社員はマイナンバー業務にタッチされないと思います。私も翻訳会社におりましたが、翻訳者に依頼するときは実力が第一で、こんなことでお願いしなくなったりはしません。
会社員の方は自分の会社に提出するだけでいいですが、フリーランスの場合、特に取引先が多いと漏洩してもどこからかわからないし、漏れても保証はないし、今漏れても何年後かに適用が拡大されてから悪用されるかも知れないしで、いろいろ心配ですよね。そのことを8月にFacebookに書きましたら、多くの方がご自分の体験をコメントしてくださいました。
客先(お役所)も本人も絶対に提出しないといけない、提出拒否という選択肢はないと思っておられるケースもありましたが、「拒否します」と連絡すると「そういう方多いんですよね」と会社側で書式を用意してくださるケースもあったりと、対応もさまざまなようです。
せっかくいろいろな情報が集まりましたので、こちらにまとめました。追加情報がありましたら順次こちらに補足します。
翻訳者のための青色申告(6) – 申告後の書類保管と次年度の作業
翻訳者のための青色申告(7) – 翻訳者(文筆業)が入れる国民健康保険組合
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