控除証明書が届く季節になりました。順調に毎月帳簿を入力されていますか?
私の翻訳仲間は毎月入力されている方が多いようです。毎日入力されている几帳面な方もいらっしゃいます。帳簿はできるだけこまめに入れておくと申告がとても楽になります。今回は帳簿つけの順番をご説明します。
人によっていろいろだと思うので、一例としてご覧くださいね。この通りにする必要はありません。
1 普通預金出納帳
記帳順という観点から要(かなめ)になるのはお金の出入りがはっきりしていて「入金」がある「預金通帳」です。預金通帳のお金の流れを「普通預金出納帳」に記帳します。その際、帳尻が合っているか、つまり帳簿と通帳とで残高が同じか毎回確かめます。ここが間違っていると後で全部見直しが必要になるので、しっかり確認する癖を付けましょう。
このとき、預金を引き出したら毎回科目は「現金」にしていったん現金出納帳に入れます。
2 振替伝票入力
翻訳料が入金された場合、普通は源泉徴収されています。実際の入金額と売上額はちがいますね。この場合はそのままの金額を「売上」にはできません。こういう場合は「振替伝票」の「複合仕分け」で入力します。
上の画面を見ていただくとわかると思うのですが右の「貸方」に売上金額を、左の「借方」に入金額、源泉徴収額、差し引かれた振込手数料(注:翻訳者に負担させる会社はほとんどないです)などを入れ、左右の金額を合わせます。
やっぱり便利な事業主貸
このスクリーンショットでは貸方科目が「預け源泉税」ではなく「事業主貸」になっています。
一般に客先(翻訳会社/ソースクライアント)は翻訳料から源泉税を差し引き(預かって)税務署に納付します。外注などで自分が源泉税を預かって(預り源泉税)いないかぎり、源泉税はすべて「預け源泉税」で、一部は所得税になり一部は還付されます。
還付金も所得税も「事業のお金の流れには無関係」なので、私は最初からここを「事業主貸」で処理しています。もちろん、きっちり仕分けしたい、という方は科目を「事業主貸」のかわりに「預け源泉税」にしてください。その場合還付金が入金された際に帳簿上の処理が発生します。
ヒント:
最初に入力するのは「普通預金出納帳」と書きましたが、振替伝票と行き来するのが面倒なので、私はまず通帳の売上入金分だけ先に振替伝票で入力してしまい、それから普通預金出納帳を入力しています。
普通預金出納帳に入力するときには、振替伝票で入力した入金分は重複しないよう気をつけてくださいね。
3 現金出納帳
セミナー代金の振り込みやPCの購入などで直接銀行口座から振り込む場合を除き、ほとんどの経費は現金出納帳から出ます。また毎月の生活費もここから出すようにします(普通預金から出金したときに事業主貸にしない)。現金出納帳は事業主貸/事業主借で色々調整がしやすいからです。
家賃や光熱費は家事案分といって「私的な使用分」を除いて「事業の経費」にできますが、按分計算は1年分を記帳してから決算時に行うので、全額を入力します。
4 総勘定元帳
会計ソフトでは、現金出納帳や普通預金出納帳で入力したものは自動的に総勘定元帳に反映されています。日付順、勘定科目ごとに整理されており、勘定科目ごとの残高も把握できます。ほとんどのソフトで「マイナス残高検索」ができるはずですので、検索でマイナスが発生していることがわかったらマイナスを相殺できる額の「現金」を現金出納帳に「事業主借」で入れます(普通預金ではマイナスを発生させないことが前提です)。
5 売掛帳
売掛帳はどうするの? 2番の「振替伝票」で「売上」になっているけど本当は「売掛金」じゃないの?と思われた方もおられたかも知れません。これについては次回「期中現金主義・期末発生主義」でご説明します。
翻訳者のための青色申告(6) – 申告後の書類保管と次年度の作業