『翻訳者の目線』2015

2015-10-07 10.23.54

 

日本翻訳者協会が2012年から「世界翻訳の日」に発行しているアンソロジー『翻訳者の目線』。私も毎年寄稿しています。こうして並べてみると年々厚みが増していますが、寄稿されている皆さんの翻訳にかける情熱もますます熱いですよ。

私はというと、そんな話ばかりでは読む方もしんどいかな、と毎年ちょっと外れたことを書いています。

今年はシーラッハの『コリーニ事件』について書きました。PDFでどなたにもお読みいただけます。自分の掲載文のみこちらにも掲載しました。

『翻訳者の目線』2015((こちらからDLできます)

翻訳の外側で

ここ数年、ミステリーはヨーロッパが熱い。フランスの『その女アレックス』(ピエール・ルメートル)は記憶に新しいが、「このミステリーがすごい!2015」海外部門第1 位など、名だたる賞を総なめし、史上初の6 冠達成だそうだ。また北欧ミステリーも、独特の雰囲気と登場人物の名前が似ている上になじみがなく覚えきれない(!)ことでミステリー好きを喜ばせている。スウェーデンの『ミレニアム』(スティーグ・ラーソン)、デンマークの『特捜部Q』(ユッシ・エーズラ・オールスン)など、どちらもシリーズ化されており、マイナー言語の翻訳者にとってもうれしいブームとなっている。

そして快進撃が止まらないのが今やドイツミステリーの代名詞となったフェルディナント・フォン・シーラッハ。この1 月に4 作目『禁忌』の邦訳が出版され、6 月には日本で舞台化までされている(世界初演)。私の周りでも、第1 作『犯罪』、第2 作『罪悪』の人気は高い。ところがいかんせん、第3 作『コリーニ事件』の評判は今ひとつである。ナチスの戦犯問題を扱った、なんだかめんどくさくて暗い話、という印象が先立っているように思う。本国ドイツでは、邦訳が出た時点ですでに35 万部を突破しているというのに。

著者がドイツで有名な弁護士であることを知る人も多くはないが、いったいどれくらいの人が日本でシーラッハという名にピンとくるだろうか。名字に「フォン」がつくから貴族の出(とは限らないが)、なんてことではない。彼の祖父はニュルンベルク裁判で禁固20 年の刑に処されたナチ党全国青少年指導者バルドゥール・フォン・シーラッハなのだ(ちなみに祖母はナチ党専属写真家ハインリヒ・ホフマンの娘)。刑期満了で釈放されたとき著者は2 歳。10 歳で良家の子女が学ぶ寄宿学校に入学した。ある日教室で開いた教科書に祖父の写真が載っており、その時初めて、「かつて毎日のように一緒に散歩したおじいちゃんの過去」を知ったという。『コリーニ事件』の訳者あとがきで酒寄進一さ
んも書かれているが、同じクラスや学年に、ヒトラー内閣外務大臣ヨアヒム・フォン・リッべントロップ、軍需大臣アルベルト・シュペーア、ヒトラー暗殺計画の失敗で処刑されたクラウス・フォン・シュタウフェンベルク伯爵、同エルヴィン・フォン・ヴィッツレーベン、同フェルディナント・フォン・リューニックの孫や孫娘がいたという。かつての呉越が同舟、すべて教科書に載っている人たちである。王室のないドイツで、ナチスへの関与とは無関係にこのような階層が存在し、子息が通う学校まであることに、私は心底おどろいた。

著者インタビューでシーラッハは「私の名前は私生活では何の意味も持たなかった」と語っている。裏を返せば、公的な仕事においてはその名前が影響したということになる。小説でも法廷でも、シーラッハは一貫して「法とは何か」、「罪とは何か」ということを静かに問い続けている。その中には祖父の罪も、そのような祖父を持った自分に何ができるのかという問いも、含まれているにちがいない。

おどろくような話はこれだけではない。ネタバレになってしまうが、『コリーニ事件』では時効に関してナチス戦犯に有利になる法の不備が暴かれている。そしてこの本がベストセラーとなり、出版後わずか半年で、ドイツ連邦法務省にこの法の不備を検討する調査委員会が立ち上げられたのだ。弁護士兼小説家の真骨頂、ドイツ国民も法務省もあっぱれ、である。小説で政治が動き、法律が書きかえられる、作り話のような本当の話なのだ。

それにくらべて、祖父がA 級戦犯被疑者として1 度は巣鴨プリズンにつながれたわが日本の首相たるや…と泣言を言いたいわけではない(いや、言いたいが)。歴史的背景を知ることで、日本では残念ながら人気のないこの作品も俄然おもしろくなりませんか、と自分が愛してやまないこの本を皆さんにお薦めしたいのだ。ふりかえって自分の仕事はというと、普段私が訳しているのは小説ではなく取扱説明書や特許明細書だが、時折社史の翻訳なども仰せつかる。ドイツ企業が偉いのは社史にもナチスとの関わりを明記していることだ。あたりさわりのない記述に終始している場合ももちろん少なくないが、良いことも悪いことも、こんなに書いてしまっていいのかしら、と思うほど詳細に記されていて、手に汗握るドラマがあり、翻訳はそっちのけで読みふけった本もあった。ドイツは企業レベルでも過去を隠さず「罪を認め、公(おおやけ)にする」ことが正義である社会だと思う。残念なことに、せっかく訳しても(しかもおもしろいのに)、日本語版ではその部分が割愛されてしまうこともあるのだが。

 

『翻訳者の目線』2012~2014 ブログ記事

『翻訳者の目線』2016ブログ記事

『翻訳者の目線』2017ブログ記事

LogoVista南山堂医学大辞典20版

 

南山堂医学大辞典は10年近く19版をJammingという辞書ブラウザ(販売終了)で使っていたのですが、待望の20版がLogoVistaから出たので購入ました。(南山堂の紙の辞書のHPはこちら

他の辞書ブラウザには非対応

最初に書いておきますが、この辞書は辞書ブラウザLogophile(シェアウェア)やJammingに辞書として登録はできますが、残念ながら検索はできませんでした。というかヒットしますが本文は表示されません。Logophile側の対応が進まないかぎり、研究社のコロケーション辞典以降に発売されたLogoVista辞書は付属のLogoVistaブラウザを使うしかないことがはっきりしました。

 Logophileではインデックス作成時に「全文検索」にチェックを入れましたが、検索をかけても数字が表示されるだけです。(Jammingでも同じ)

homeo

 

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ひとりのお昼ごはん 2 – ひとりじゃないときも常備菜で

夏休みがすんだと思ったらシルバーウィークや文化祭の代休で毎日お昼ごはんを作っています。そんなときも常備菜が活躍。忙しくてもぱぱっと用意できます。

紫キャベツのコールスローとじゃことシシトウの佃煮

普通のキャベツでもいいのですが、ちょっと目先が変わるので紫キャベツを使って見ました。

2015-07-20 13.37.24

 

①紫キャベツ1/4個、玉ネギ中1/4個を刻んでそれぞれ塩小さじ1/2でしんなりしたらさっと水洗いして絞る。

②マヨネーズ、オリーブ油、酢各大さじ2をボールに入れてよく混ぜ、①を加え、こしょうで味を調える。

じゃことシシトウの佃煮は、飛田和諸さんの「常備菜」のレシピです。

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十人十色広島編・大阪編2015

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7月に東京で行った勉強会については以前このブログのEvernote活用法の記事で少し触れましたが、10月に広島(1日)と大阪(2日)でも同じ形式で開催します(2013年に続き2回目)。

学び合いの場として

どんなお仕事もそうだと思いますが、翻訳もプロであり続けるには常に勉強が必要です。セミナーに通ったり本を読んだり、方法はいろいろですが、同業者同士が互いに自分のやり方を見せて学び合うというのも思いがけない効果があります。自分が当たり前と思ってやっていることが他の人には新鮮だったり、自分がいつも困っていることを別の人がいとも簡単に解決していたり、目からウロコが落ちること落ちること。さらには普段あまり会うことのない翻訳者同士のつながりもできますし、自分の立ち位置や進むべき道が見えてきたりもします。

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ゴーヤ・ゴーヤ・ゴーヤ!

 

ゴーヤを買ってきた日にお友達からいただき、ゴーヤが2本になっていましました。そこで2本とも半分に切って種とワタを取り、刻んでさっとゆで、冷蔵庫に。何日かゴーヤづくしになりました。 

ゴーヤチャーハン

まずはゴーヤチャーハン。常備菜にしていた煮豚と玉ネギを炒め、ごはんを入れて塩味を付け、最後にゆでたゴーヤを混ぜ込みました。お肉は豚コマでも焼き豚でもいいと思います。盛り付けてからふわとろ半熟卵を載せただけですが、シンプルでおいしかった!チャーハン食べたいなあ、と思い、冷蔵庫にあるもので作ったのですが、最近では1番のヒット作でした。

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翻訳者のための青色申告(3)事業主貸と事業主借

2012-08-02 13.05.09

 

魔法の言葉「事業主貸と事業主借」

翻訳者のための青色申告(1)はじめの一歩で、「事業用の通帳に個人のお金の流れは排除する」ようお薦めしましたが、通帳のスリム化は進んでいますか?

とはいえ、毎月の生活費を引き出したり、経費支払いに個人のお金を使ったりするので、まったく排除することはできません。そんなときに便利なのが「事業主貸と事業主借」です。事業のお金と個人のお金の間でやりとりがあったことを示すのが「事業主貸と事業主借」なのです(ただし、法人の場合はこの勘定科目はありません)。

 事業主貸は、事業から個人に流れたお金です(事業のお金を個人のお金に入れた場合、事業のお金で個人の支出をした場合) 。簡単に言うと「事業主に貸したったでー」ということです。

事業主借は、個人から事業に流れたお金です(個人のお金を事業用の通帳に入金した場合、あるいは個人のお金で事業用の支出をした場合)。つまり「事業主から借りてまっせー」という意味です。

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Evernote – 私の活用法

 

2015-06-28 15.24.07

Evernoteってご存じですか?ノートを取るように、またはスクラップブックのように、情報を蓄積できるデジタルのワークスペースです。クラウドにデータを保存・整理し、メモや文章を書き込み、必要な情報を収集、それらを検索して必要な情報を簡単に見つけることができます。(キングジムHPの説明がわかりやすいです)

Evernoteでは集めたデータ一つ一つをノート、それを入れるフォルダをノートブックと呼んでいます。またそれぞれにタグを付けておくと(複数可)、Twitterのハッシュタグのようにタグでノートを検索閲覧できます。

Evernote

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ひとりのお昼ごはん

家で仕事をしていると、お昼ごはんはたいてい一人です。前の日の夕食や子供のお弁当の残りですませることも多いのですが、健康のためにも野菜中心のお昼ごはんを心がけています。また納期が迫っていると食事がおろそかになりがち。忘れてしまうことさえあります。そこで最近は時間のあるときに常備菜をまとめて作るようになりました。

残り物プレート

お弁当のおかずを多めに作って朝プレートに並べておきます。すぐに食べられるし、冷めたときの味も確かめられます。ただ、子供が朝ご飯で全部平らげてしまって余らないこともしばしばです。

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海水漬け

NHKのあさイチ、スーパー主婦のがんばらない家事レシピ。水500ccに塩大さじ1、出し昆布8センチに好きな野菜を漬けます。あくの強いほうれん草などを除けば何でもよいそうです。浅漬けほど塩分がないので、少ししんなりするくらいで、冷蔵庫で5日間、新鮮さが保たれます。その日の気分でいくつか刻んで(昆布もOK)、ゴマや鰹節、ごま油やポン酢、ドレッシングなどをかけてサラダがわりにいただけます。もちろんお弁当の彩りにも。

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本屋さんへ行こう!シリーズ2「ひと月限りの<ぽえむ・ぱろうる>(リブロ池袋本店)」

 

今年3月初め、リブロ池袋本店が閉店するというニュースは私たち翻訳者仲間を驚かせました。本店に思い出のある方も多く、惜しむ声をあちこちで聞きました。私も学生時代に通った本屋さんなので閉店までに一度は、と思っていたところ、Twitterで「ひと月限りの<ぽえむ・ぱろうる>」(6月1日~リブロ閉店まで)という企画があることを知り、さっそく訪ねてみました。 

リブロと思潮社のタッグ

2015-06-06 10.03.17

 

1975年~2006年まで西武ブックセンター/リブロの一角にあった「ぽえむ・ぱろうる」は、実は「現代詩手帖」を出している思潮社が出店していたのだそうです。私も80年代によく通いましたがとっくに絶版になっているはずの詩集が並んでいた理由が今になってわかりました。今回もリブロからの提案で協力されています(思潮社HP)。私がお話をうかがっている時も思潮社の方が補充用の本を持ってこられていました。 

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個性的な紙の辞書と東ドイツ時代の本

約1年前に引っ越して以来、本の整理を進めています。検索ができるように電子化もしているのですが、よく使う辞書には紙の辞書もたくさんあります。 

テクニカルライター英和辞典

「key」というと鍵やキーボードのキーが思い浮かびますが、技術翻訳では機械要素のキーがよく出てきます。「機械用語大辞典」(日刊工業新聞社)には「回転軸に歯車やプーリなどを固定して,トルクを伝達する場合に用いられる機械要素の一つ」と書かれています。この用例を載せている辞書は少なく、あの海野さんの辞書にも訳語は載っていますが数百ある例文には(ざっと見ただけなので見落としているかもしれませんが)見当たりません。そこで仕事机の横のスタンド形本棚に置いている「テクニカルライター英和辞典」(三省堂; 増補新装版)を見てみると「(キー;回り止め、抜け留め用の)くさびキー」という訳語と共に多数の例文と図も載っています。

例:

… secured by a key against turning キーで回転を阻止されている…

訳語だけではどういうものか把握しにくいので、コンパクトな辞書ですが手放せません。

ずっと絶版で、古書が2万円もする時期があったのですが、2008年にインデックスを加えた増補版が出ました。このような辞書が再版されることは珍しいので、多くの方の支持があったのだと思います。 

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