翻訳者のための青色申告(3)事業主貸と事業主借

2012-08-02 13.05.09

 

魔法の言葉「事業主貸と事業主借」

翻訳者のための青色申告(1)はじめの一歩で、「事業用の通帳に個人のお金の流れは排除する」ようお薦めしましたが、通帳のスリム化は進んでいますか?

とはいえ、毎月の生活費を引き出したり、経費支払いに個人のお金を使ったりするので、まったく排除することはできません。そんなときに便利なのが「事業主貸と事業主借」です。事業のお金と個人のお金の間でやりとりがあったことを示すのが「事業主貸と事業主借」なのです(ただし、法人の場合はこの勘定科目はありません)。

 事業主貸は、事業から個人に流れたお金です(事業のお金を個人のお金に入れた場合、事業のお金で個人の支出をした場合) 。簡単に言うと「事業主に貸したったでー」ということです。

事業主借は、個人から事業に流れたお金です(個人のお金を事業用の通帳に入金した場合、あるいは個人のお金で事業用の支出をした場合)。つまり「事業主から借りてまっせー」という意味です。

生活費・利息・還付金 

毎月の売上げから生活費を引き出した場合は事業主貸になります。

また、事業用のお金に利息がついたときはどうすればいいでしょうか。間違っても「雑収入」にしないでくださいね。判断基準はそれが事業で得た収入か、個人のお金か、ということになります。これは「個人のお金が事業のお金に入って」いるので事業主借です。

仕事用クレジットカードのポイント還元などで事業用通帳に入金があったときも同じです。事業で発生した利益ではなく「個人のお金」なので帳簿上は事業主借になります。

では還付金はどうでしょう。法人の場合は、「雑収入」で処理されるようですが、個人の場合は、還付金も還付加算金(税務署による還付が遅れたときの利息)も事業主借になります。

生活費は現金出納帳から

ちなみに、事業用の通帳から生活費を引き出す場合は、帳簿上は一旦現金に入れ、現金出納帳から引き出すようにします。こうしておくと帳簿上にマイナスが発生しても調整しやすくなります。

また初歩的なことですが、帳簿上にマイナスがあってはいけません。マイナスが出てしまう場合は事業主借で現金出納帳に現金を入れてマイナスをなくします。

おまけ:少額減価償却資産の特例

友人から聞かれたのでこちらにも書きます。ちょっと用語が難しいので関係の無い方は飛ばしてくださいね。

パソコンなどを購入した場合、10万円を超えると基本的に減価償却する必要があります(PCは4年)。また10万円 ~ 20万円未満のものは「一括償却資産」といって3年で損金処理ができます。

売上げが多い年に経費をたくさん上げたい場合や減価償却が面倒という方は、取得価格が30万円未満(消費税免税事業者は消費税を含んだ金額)の場合、青色申告者に限って「少額減価償却資産の特例」により一括で償却が可能です(ただし平成18年4月1日から平成28年3月31日までの間に取得したものに限定されています。何度も延長されているので、また延長される可能性はあります)。

事業年度の途中で取得しても月数案分が不要で、申告時に一括で償却できます。また30万円未満のPCを2台購入した場合でも両方一括償却可能です(たしか年間合計限度額があったと思いますが、個人ではとうてい一度に購入できない額です)

少額減価償却資産の損金算入は、新品だけでなく中古を購入した場合も、取得価額が30万円未満であれば可能です。

少額減価償却資産の仕分けと償却

「少額減価償却資産の特例」では、PC購入費用をダイレクトに経費にできるわけではありません。あくまで資産の償却ですので、帳簿上ではまず購入した日付で固定資産の勘定科目で仕分けます。PCなら「工具器具備品」になります。

そして年度の決算時に借方を「減価償却費」、貸方を「工具器具備品」として取得価額の全額を計上します。

 

いかがでしたか?普通に減価償却するにしろ少額減価償却資産の特例を使うにしろ、初心者にはめんどうなので記帳指導の方に任せればいいと思います。どんどん質問してやってもらってくださいね!

翻訳者のための青色申告(1) - はじめの一歩 

翻訳者のための青色申告(2) - 節税の計画を立てよう

翻訳者のための青色申告(4) – 帳簿入力の順番

翻訳者のための青色申告(5)- 現金主義と発生主義

翻訳者のための青色申告(6) – 申告後の書類保管と次年度の作業

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