ディストピアの地平 – クッツェー『イエスの幼子時代』

2016-10-25-16-56-32

 

クッツェー。名前は知っていた。ノーベル賞受賞(2003年)も知っていた。1940年南アフリカのケープタウン生まれ?アフリカーナー?(アフリカ南部に居住する白人のうち、ケープ植民地を形成したオランダ系移民を主体に、宗教的自由を求めてヨーロッパからアフリカに入植した人々が合流して形成された民族集団)。未知の世界だ。1961年に英国に渡り、1965年に渡米、VISA取得がかなわず、1971年に南アフリカに帰国、2002年、オーストラリアのアデレードに移住、2006年にオーストラリアの市民権を取得!4大陸を漂浪した作家に俄然興味が湧き、邦訳最新作『イエスの幼子(おさなご)時代』(J・M・クッツェー著、鴻巣友季子訳/早川書房)を読んでみた。

過去を捨てノビージャという架空の国に、縁あって二人で逃げてきた初老の男シモンと孤児ダビード。新しい名前を与えられ、新しい人生を始める。公用語はスペイン語だが、シモンもダビードも(過去に何語を話していたかはわからないが)スペイン語を流ちょうに話し、言葉による齟齬(そご)はない。仕事も住居もあてがいぶちながら、普通の暮らしを二人は手に入れる。

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