多和田葉子さんのカフカ「変身」

facebookのタイムラインで話題になっていた「新訳でびっくり。カフカ『変身』の主人公は、本当に「毒虫」に変身したのか」

 

新訳でびっくり。カフカ『変身』の主人公は、本当に「毒虫」に変身したのか」(米光一成)

冒頭の有名な一文、

Als Gregor Samsa eines Morgens aus unruhigen Träumen erwachte, fand er sich in seinem Bett zu einem ungeheueren Ungeziefer verwandelt.

の多和田訳

“グレゴール・ザムザがある朝のこと、複数の夢の反乱の果てに目を醒ますと、寝台の中で自分がばけもののようなウンゲツィーファー(生け贄にできないほど汚れた動物或いは虫)に姿を変えてしまっていることに気がついた。”

があまりにもこれまでの訳とかけはなれている、というのだ。筆者の米光さんはそのことを批判的に書いているわけではなく、文面からは彼のウキウキした気持ちが伝わってくる。私もそうだ。結論から言うと、多和田さんの頭の中に立ち現れたカフカの世界を、私は純粋にただ味わいたいと思う。これだけたくさんの既訳があるのに、他の訳とは違う、こんなところに連れてきてくれたのか、という訳でなければ、多和田さんに翻訳を依頼したかいがないではないか。

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